融資の相談で見られる「資金繰り表」|基本の形と、月末の残高・返済の示し方

「融資の相談に行ったら、資金繰り表はありますかと聞かれた」。

決算書や試算表は税理士さんが作ってくれていても、資金繰り表は手元にない、という方は少なくありません。何を書けばいいのか分からず、そこで手が止まってしまうこともあります。

事業の融資で金融機関が確かめたいのは、突き詰めると「きちんと返せるか」です。それをいちばん直接に示せるのが、資金繰り表です。

この記事では、資金繰り表の基本の形と、作るときのポイント、金融機関が見るところを整理します。


目次

資金繰り表とは|利益の計算とは別のもの

資金繰り表は、毎月、いつ・いくらのお金が入り、いつ・いくら出ていき、月末にいくら残るかを並べた表です。

決算書の損益計算書との違いは、「売上が立った月」ではなく「お金が実際に入った月」で書くところです。

たとえば、4月に仕事を終えて請求し、入金が6月だったとします。損益計算では4月の売上ですが、資金繰り表では6月に入るお金です。その間も、材料代や外注費、人件費の支払いは先に出ていきます。

「黒字なのに、お金が足りない」ということが起きるのは、このずれがあるからです。資金繰り表は、そのずれを月ごとに見えるようにします。


融資の相談で、資金繰り表が大事な理由

金融機関は、事業の融資で主に次の3つを見ています。

  • 売上の元になる仕事は、実際にあるか
  • 黒字に向かう道筋が、数字で見えるか
  • 返していくお金が、どこから生まれるか

3つ目の「返していくお金」を示すのが、資金繰り表です。借りたお金がいつ入り、毎月の返済がいつ出ていき、それでも月末に残高が残るか。これを表で示せると、面談での説明が短く済みます。

反対に、資金繰り表がないと「売上が伸びれば返せます」という言葉の説明になりがちです。言葉だけでは、金融機関は返済の見通しを確かめられません。


資金繰り表の基本の形

決まった様式があるわけではありませんが、基本は次の並びです。横に月を12か月分並べ、縦にこの項目を置きます。

  1. 月初の残高:その月の始めに手元にあるお金(現金と預金)
  2. 入るお金:売上の入金、その他の入金
  3. 出るお金:材料・仕入・外注の支払い、人件費、家賃などの毎月の固定費
  4. 年に数回の大きな支出:納税、賞与、保険料の年払いなど
  5. 借入と返済:借り入れたお金の入金、毎月の返済額
  6. 月末の残高:1+2-3-4+5(借入)-5(返済)。これが翌月の「月初の残高」になります

最初から細かく分ける必要はありません。まずはこの6行で、12か月分を埋めてみることから始めます。


作るときの4つのポイント

1|売上は「入金の月」で書く

いちばん多いずれがここです。請求した月ではなく、入金が実際にある月に書きます。取引先ごとに「月末締め・翌月末払い」「翌々月払い」など、入金までの期間を確かめてから入れます。

2|年に数回の大きな支出を入れる

毎月の支払いだけで作ると、納税や賞与の月に急にお金が減ることが見えません。通帳を1年分さかのぼって、大きく出ていった月を拾っておくと漏れにくくなります。

3|借入と返済を、売上とは分けて書く

借りたお金は売上ではありません。「入るお金」に混ぜず、借入の行に分けて書きます。すでにある借入の返済も、毎月の返済額として入れます。

4|ほかの書類と数字をそろえる

資金繰り表の売上や支払いは、決算書・試算表・事業計画とつながっています。書類ごとに同じ項目の金額が違うと、内容より先に、そこで信用を失いやすくなります。作り終えたら、ほかの書類と数字を並べて突き合わせます(融資を申し込むときに出す書類の記事)。


金融機関が見るところ

できあがった資金繰り表で、金融機関が確かめるのは主に次の点です。

  • すべての月で、月末の残高がプラスになっているか:1か月でもマイナスになる月があれば、その月に何が起きるのかを説明する必要があります
  • 毎月の返済が、事業から生まれるお金の範囲に収まっているか:返済のために、また別の借入が必要になる形になっていないか
  • 借りたい金額と、足りなくなる金額が合っているか:資金繰り表で足りなくなる時期と金額が、申し込む金額の根拠になっているか

3つ目は、お金の使い道の説明ともつながります。「なぜこの金額なのか」を、資金繰り表で示せる形が理想です。


よくあるずれ

  • 入金を早めに見込んでいる:これまでの入金が遅れがちだった取引先も、予定どおりに入る前提になっている
  • 売上だけが右肩上がり:売上は伸びるのに、それに伴う材料費や外注費、人件費が増えていない
  • 大きな支出が抜けている:納税や賞与の月が入っておらず、実際より残高が多く見える
  • 融資を受ける前提でしか回らない:借入がなかった場合の残高を確かめていない

資金繰り表は、融資を通すために作るものではありません。実際の受注と支払いに沿った、現実の数字で作ることが、結果として金融機関にとっても分かりやすい表になります。

今日できること

  • 通帳を1年分さかのぼり、大きくお金が出ていった月と、その理由を書き出す
  • 主な取引先ごとに、請求から入金までが何か月かを確かめる
  • 今の手元のお金と毎月の支払いから、あと何か月もつかを計算してみる

月々の入金と支払いを入れると、12か月分の残高の動きを確かめられる無料の資金繰りシミュレーターも用意しています。表を作る前の、おおまかな見通しを立てるのにお使いください。


まとめ

  • 資金繰り表は、毎月いつ・いくら入り、いつ・いくら出て、月末にいくら残るかを並べた表です
  • 売上は「売上が立った月」ではなく「入金の月」で書きます
  • 基本の形は、月初の残高・入るお金・出るお金・年に数回の大きな支出・借入と返済・月末の残高の6行です
  • 金融機関が見るのは、すべての月で残高がプラスか、返済が事業から生まれるお金の範囲か、借りたい金額の根拠になっているかです
  • 融資のためだけに作るのではなく、実際の受注と支払いに沿った数字で作ります

「資金繰り表を作ってみたけれど、これで合っているのか分からない」「何から手をつければいいか分からない」という段階でも、ご相談いただけます。通帳と請求書の控えを一緒に見ながら、まずは12か月分の表を形にするところから始めます。

赤字の決算で相談を考えている場合は、赤字の決算でも融資の相談はできるかの記事もあわせてご覧ください。

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