「内装の許可は持っているけれど、今度、電気の工事も500万円を超えそうだ」。
建設業許可を取ったあとに仕事の幅が広がると、こうした場面が出てきます。建設業許可は、手引きの言葉でいうと建設業の種類(29業種)ごとに受けるものです。内装仕上工事の許可で、電気工事の大きな工事を請け負えるわけではありません。
すでに許可を持っている事業者が、別の業種の許可を加える手続きを「業種追加」といいます。
この記事では、東京都の手引き(令和7年度)をもとに、東京都知事許可・一般建設業の業種追加について、手数料・期間・書類と、いちばんのポイントになる「技術者」の確かめ方を整理します。
業種追加とは
東京都の手引きでは、業種追加を次のように説明しています。
- 「一般建設業」の許可を受けている人が、ほかの業種の「一般建設業」を申請する場合
- 「特定建設業」の許可を受けている人が、ほかの業種の「特定建設業」を申請する場合
まぎらわしいのが、同じ業種を一般から特定に切り替える場合です。これは業種追加ではなく「般・特新規」という別の申請区分になります。
まずは「何の業種を」「一般か特定か」で、どの申請にあたるかを確かめるところから始めます。
業種追加の手数料と期間
- 都に納める手数料:5万円
- 標準処理期間:受付後25日(土日祝日などを除く)
新規申請の手数料は9万円なので、業種追加はそれより低くなっています。
窓口に出す場合、手数料の納入が必要な申請は午後4時までに番号札を取る必要があります。窓口のほか、国の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム」でも業種追加の申請ができます(事前にGビズIDの取得が必要です)。
新規の費用と期間については、建設業許可の費用と期間の記事にまとめています。
更新が近い場合は、同時に申請できる
業種追加は、更新の申請と同時に出すこともできます。その場合の手数料は、5万円+5万円で10万円です。
同時に申請すると、業種ごとにばらばらだった許可日をそろえる「許可の一本化」も可能です。ただし手引きでは、今の許可の有効期間が満了する日の30日前までに受付ができる場合に限るとされています。
反対に、業種追加の時期が更新とずれていると、業種ごとに満了日が違う状態になります。管理する期限が増えるので、更新までの残り期間を見て、時期を決めるのがおすすめです。更新の流れは建設業許可の更新の記事にまとめています。
新規より軽くなる書類
業種追加は、すでに許可を受けている事業者の申請なので、新規と比べて省ける資料があります。
- 常勤役員等(経管)の経営経験を証明する資料は不要
- 工事経歴書と「直前3年の各事業年度における工事施工金額」は、追加する業種の分だけ作成
- 預金残高証明書などの財産の資料は、手引きでは「過去に一度も更新をしたことがなく、直近の決算報告の純資産額が500万円未満」の場合に必要とされています
新規のときにいちばん苦労しやすい「経管の経験の証明」を、もう一度やり直す必要はありません。
一方で、経管の人が今も常勤しているかを示す資料や、健康保険等の加入を示す資料は、業種追加でも出します。
定款の「目的」も確かめておく
法人の場合、定款の目的から追加する業種が読み取れないと、手引きでは目的を変更する旨の念書を求めることがあるとされています。申請の前に、定款の目的欄を一度読み返しておくと安心です。
いちばんのポイントは「追加する業種の技術者」
業種追加で中心になるのは、追加する業種を担当する営業所技術者等(以前の「専任技術者」)です。
更新と違い、業種追加では技術者の確認資料が必要です。手引きで「実務経験を証明する資料は不要」とされているのは更新だけで、業種追加は含まれていません。
技術者の確かめ方は、大きく2つに分かれます。
- 資格で示す:追加する業種に対応する国家資格などを持っている人がいる場合。資格認定証の写しなどで示します
- 実務経験で示す:対応する資格がない場合。その業種の工事に携わった経験を、実務経験証明書と裏付けの資料で示します
実務経験で示す場合は、新規の経管の証明と同じように、「その経験を資料で示せるか」が分かれ目になります。年数の考え方については、経管の要件を事例で整理した記事も参考になります。
また、電気工事と消防施設工事は、手引きで無資格者の実務経験は原則として認められないとされています。この2つの業種を追加したい場合は、まず資格を持っている人がいるかを確かめてください。
今の技術者が、追加の業種も担当する場合
すでに別の業種の営業所技術者等になっている人を、追加する業種の担当にもすることがあります。この場合、手引きの記入例では、追加する業種だけでなく、すでに許可がある業種の分も証明書に記入するとされています。
どの人を、どの業種の担当にできるかは、資格の種類や経験の中身で変わります。手引きを読むだけで決めずに、都の窓口で事前に相談してから進めると、二度手間を防げます。
業種追加の前に確かめておくこと
手引きの冒頭には、変更届が出ていないと更新申請などのほかの手続きができないと書かれています。
業種追加を考えはじめたら、先に次の2つを見ておくとスムーズです。
- 毎年の決算変更届が出ているか(事業年度が終わってから4か月以内に出すもの)
- 役員・技術者・事務所の場所などの変更届が出ているか
出し忘れがある場合は、そちらを先に整えてから業種追加に進むことになります。
今日できること
- これから増やしたい工事が、29業種のどれにあたるかを書き出す
- 社内に、その業種に対応する資格を持っている人がいるかを確かめる
- 今の許可の満了日を見て、更新と同時に出すか、先に出すかを考える
まとめ
- 建設業許可は29業種ごと。ほかの業種の工事を広げるときは「業種追加」の申請をします
- 同じ業種を一般から特定に切り替えるのは、業種追加ではなく「般・特新規」です
- 手数料は5万円、標準処理期間は受付後25日。更新と同時なら10万円で、許可日をそろえることもできます
- 経管の経験の証明は不要。工事経歴書などは追加する業種の分だけ作ります
- 中心になるのは追加する業種の技術者。資格か、資料で示せる実務経験があるかを先に確かめます
「この工事はどの業種にあたるのか」「今いる技術者で追加できるのか」という段階でも、ご相談いただけます。まずは今の許可通知書と、技術者の方の資格・経歴を一緒に見ながら、追加できそうな業種と足りないものを洗い出すところから始めます。
業種追加の料金と、サポートの内容は、建設業許可サポートのページにまとめています。お申込みの前に、あわせてご覧ください。

