「融資の申込書に、希望の返済期間と据置期間を書く欄がある。何年にすればいいのか分からない」。
事業の融資を申し込むとき、金額と使い道の次に迷いやすいのがここです。「返済期間は長いほうが毎月が楽」「据置期間はあったほうが安心」と考えて、できるだけ長く書きたくなる方も多いと思います。
ただ、長ければ楽、とは限りません。この記事では、返済期間と据置期間の考え方を、資金繰り表から決める順番で整理します。
返済期間と据置期間とは
- 返済期間:借りたお金を、何年かけて返すか
- 据置期間:返済期間のうち、最初に元金の返済を待ってもらう期間。この間も利息は払います
たとえば「返済期間5年・据置期間1年」なら、最初の1年は利息だけを払い、残りの4年で元金を返していきます。
返済期間や据置期間の上限は、制度や金融機関、お金の使い道によって違います。申し込む先の条件は、必ず個別に確かめてください。
毎月の返済額は、期間でこれだけ変わる
説明のために、仮の数字で比べてみます(利息は省いています)。1,200万円を借りる場合、毎月の元金の返済は次のようになります。
| 返済期間 | 据置期間 | 毎月の元金の返済 |
|---|---|---|
| 5年 | なし | 20万円 |
| 7年 | なし | 約14.3万円 |
| 5年 | 1年 | 最初の1年は0円 → その後4年は25万円 |
期間を延ばすと、毎月の返済は軽くなります。一方で、据置期間を置くと、据置が終わったあとの毎月の返済は、置かない場合より重くなります。残りの期間で同じ元金を返すからです。
「長いほど楽」ではない3つの理由
1|払う利息の合計が増える
返済期間が長いほど、借りている期間が長くなるので、払う利息の合計は増えます。毎月の楽さと引き換えに、総額の負担は大きくなります。
2|使い道と期間が合っていないと、説明がつかない
金融機関は、お金の使い道と返済期間が釣り合っているかを見ています。
- 設備資金:機械や車両、内装など、長く使うもの。一般に、その設備を使っていく期間に合わせて考えます
- 運転資金:仕入れや外注費、人件費など、事業を回すためのお金。売上の入金で戻ってくるお金なので、一般に設備資金より短めに考えます
運転資金なのに、とても長い期間を希望すると、「なぜそんなに長くかかるのか」という疑問を持たれやすくなります。使い道の分け方は、お金の使い道の説明の記事にまとめています。
3|据置が終わった月に、資金が苦しくなる
据置期間があると、最初の数か月から1年ほどは返済が軽く、資金に余裕があるように見えます。そのあいだに、その余裕を前提にした支出が増えていくと、据置が終わった月から急に苦しくなります。
据置期間は「楽な期間」ではなく、設備が動き出す・売上が立ち上がるまでの準備の期間と考えるのが基本です。
資金繰り表から決める順番
返済期間と据置期間は、「何年がふつうか」から決めるのではなく、自分の事業のお金の動きから決めます。
- 使い道を、設備資金と運転資金に分ける:分けたうえで、それぞれの期間を考えます
- 資金繰り表に、毎月の返済額を入れてみる:期間の案を2〜3通り入れ、月末の残高がどう動くかを比べます
- すべての月で、月末の残高がプラスになる案を選ぶ:据置が終わる月のあとも含めて確かめます
- 年間の返済額が、事業から毎年残るお金の範囲に収まっているかを見る:利益に、減価償却費のような現金が出ていかない費用を足したものが、ひとつの目安になります
- 据置を置くなら、その理由を1行で言えるようにする:「設備が稼働するまでの3か月」のように、期間と理由がつながっていることが大切です
資金繰り表の基本の形は、資金繰り表の記事にまとめています。
すでに借入がある場合
今ある借入の返済も、資金繰り表に必ず入れます。新しい借入だけを見て期間を決めると、合計の返済額が事業から残るお金を超えてしまうことがあります。借入が複数ある場合は、金融機関・残高・毎月の返済額・完済の時期を一覧にしておくと、全体が見えます。
今日できること
- 今ある借入を、金融機関・残高・毎月の返済額・完済の時期の4つで一覧にする
- 借りたいお金を、設備資金と運転資金に分けて書き出す
- 返済期間の案を2つ決めて、毎月の元金の返済額を計算してみる
まとめ
- 返済期間は何年かけて返すか、据置期間は最初に元金の返済を待ってもらう期間です
- 期間を延ばすと毎月は軽くなりますが、利息の合計は増え、据置が終わったあとの返済は重くなります
- 金融機関は、使い道と期間が釣り合っているかを見ています。設備資金と運転資金で考え方が違います
- 期間は「ふつう何年か」ではなく、資金繰り表で、すべての月の残高がプラスになるかから決めます
- 据置を置くなら、その期間と理由を1行で言えるようにしておきます
「返済期間を何年で希望すればいいか、自分の数字で確かめたい」という段階でも、ご相談いただけます。今の借入の一覧と、借りたいお金の使い道を一緒に見ながら、資金繰り表に返済を入れて、無理のない期間を考えます。
融資のサポートの内容は、融資・資金調達のサポートのページにまとめています。

