自宅兼事務所でも建設業許可は取れる?|東京都・営業所の要件と写真のそろえ方

「事務所は借りていない。自宅の一室で仕事をしているけれど、それでも建設業許可は取れるのか」。

一人親方の方や、ご家族で会社を営んでいる方から、よくいただくご質問です。

先にお伝えすると、自宅兼事務所であること自体は、許可を取れない理由になりません。東京都の手引きにも「住宅の一部を事務所としている場合」の例が載っています。

ただし、どんな自宅でもよいわけではありません。見られるのは、居住スペースとの区分・建物を事務所として使える契約かどうか・外から分かる表示の3点です。

この記事では、東京都の手引き(令和7年度)をもとに、東京都知事許可の営業所の要件と、申請のときに出す写真・資料を整理します。


目次

建設業許可でいう「営業所」とは

手引きでは、営業所を「請負契約の締結に関する実体的な行為(見積り・入札・契約等)を行う事務所」としています。

反対に、次のようなものは営業所に当たりません。

  • 登記上の本店になっているだけの場所
  • 請求や入金などの事務作業だけを行う事務所
  • 工事現場の事務所や作業所

つまり、「ここで見積りを作り、お客様と契約の話をしている」と言える場所が営業所です。資材置き場や、登記だけ置いている住所は、そのままでは営業所になりません。


営業所に求められる6つの要件

手引きには、営業所が備えるべき要件が6つ挙げられています。

  1. 外部から来客を迎え入れ、請負契約の締結などの業務を行っていること
  2. 電話・机・各種事務台帳などを備え、契約ができるスペースがあること。他の法人や個人事業主の事務室とは、間仕切りなどで区分されていること
  3. 常勤役員等(経営業務の管理責任者)が常勤していること
  4. 営業所技術者等(旧:専任技術者)が専任で常勤していること
  5. 営業用事務所として使う権原があること(自己所有、または賃貸借契約など)
  6. 看板や標識などで、外から建設業の営業所だと分かる表示があること

電話は、固定電話でなくてもかまいません。手引きでは、名刺や封筒で確認できる業務用の携帯電話も可とされています。なお、届け出た電話番号は、国の企業情報検索システムで公開されます。


自宅兼事務所で見られること① 居住スペースとの区分

自宅の場合、手引きは「居住部分と適切に区別されているなど独立性が保たれていること」を求めています。

手引きには、間取り図で「可の例」と「不可の例」が示されています。違いは、事務所までの通り道です。

  • 可の例:玄関から廊下を通って、そのまま営業所スペースに入れる
  • 不可の例:居住スペースを通り抜けないと、営業所スペースに着かない

リビングの一角に机を置いているだけ、という状態は、区分の説明がむずかしくなります。来客が生活の場を通らずに入れる一室を、事務所として分けられるかどうか。ここが最初の確認点です。


自宅兼事務所で見られること② 事務所として使える契約か

2つ目は、その建物を事務所として使う権原があるかどうかです。

  • 持ち家の場合:自己所有であることを、建物の登記事項証明書などで示します
  • 賃貸の場合:賃貸借契約書の使用目的が、事業所用または店舗用であることが求められます

賃貸でいちばん気をつけたいのは、契約書の使用目的が「住居用」になっている場合です。手引きでは、住居専用の契約は原則として認められないとされています。住居用の契約の場合は、事業所として使うことについての特約があるか、貸主からの承諾書が必要です。

また、都営住宅やUR賃貸住宅などの公的賃貸住宅は、原則として営業所としての利用が認められません。

賃貸にお住まいの方は、申請の準備を始める前に、まず契約書の「使用目的」の欄を確かめてみてください。承諾書が必要な場合、貸主とのやり取りに日数がかかることがあります。


自宅兼事務所で見られること③ 外から分かる表示

3つ目は、外から見て、建設業の営業所だと分かることです。

自宅の場合、表札は名字だけ、ということが多いのではないでしょうか。申請の写真では、商号(屋号や会社名)を掲示した入口や、商号が読み取れるポストを写します。

ポストの表示は、申請のあとにも関わります。許可通知書は、営業所の所在確認のために「転送不要」の郵便で届きます。手引きには、通知書が届かない場合は営業所調査を行い、許可をしない場合がある、と書かれています。


申請のときに出す、営業所の確認資料

新規申請では、営業所について次の資料を用意します。

  • 法人:登記事項証明書
  • 個人:屋号を登記している場合は、登記事項証明書
  • 営業所の写真
  • 名刺・封筒などの写し(営業所の郵便番号・電話番号が確認できるもの。提示のみ)

登記上の住所(個人の場合は住民票上の住所)と違う場所に営業所がある場合は、次のいずれかを加えます。

  • 自己所有の場合:建物の登記事項証明書、または固定資産物件証明書・固定資産評価証明書
  • 賃貸の場合:賃貸借契約書の写し

官公庁で取る証明書は、発行後3か月以内のものを出します。賃貸借契約書は、有効な契約期間内のものが必要です。自動更新の条項がある場合は、契約期間を過ぎていても可とされています(定期建物賃貸借を除く)。


営業所の写真は、何を撮るのか

手引きの撮影要領では、次の3か所を撮ることになっています。

  1. 建物の全景など:建物の全景、建物の入口付近、入口を正面から写したもの、テナント表示(ない場合は、商号が読み取れるポストや集合郵便受け)
  2. 事務所の入口:商号などを掲示した入口部分
  3. 事務所の内部:複数の方向から写したもの。執務スペースと応接スペースが確認できるもの

内部の写真は、ブラインドやカーテンを開けた状態で撮ります。

そして、営業所が住居と同じ建物の中にある場合は、次の3つを追加します。

  • 間取り図(手書きでも可)
  • 入口から事務所までの動線部分の写真
  • 営業所スペースが、住居スペースと明確に区分されていることが分かる写真

ここで、①の「居住スペースとの区分」を写真と間取り図で示すことになります。申請書の上で実態が把握できない場合などには、立入調査が行われることもあります。写真のためだけに整えるのではなく、ふだんから事務所として使っている状態にしておくことが大切です。


判断に迷うときは、申請の前に確かめる

間取りや契約の内容は、一軒ずつ違います。「この間取りで区分できていると言えるか」「この契約書で足りるか」は、手引きの文章だけでは決めきれないことがあります。

都に納める手数料は、申請を取り下げても戻りません(費用については建設業許可の費用と期間の記事にまとめています)。迷う点があるときは、申請の前に、都の窓口への事前相談で確かめてから進めます。

今日できること

  • 自宅の間取りを紙に書き、玄関から事務所にする部屋までの通り道に線を引く
  • 賃貸の場合は、契約書の「使用目的」の欄を確かめる
  • 玄関とポストに、屋号や会社名の表示があるかを見る

まとめ

  • 自宅兼事務所であること自体は、建設業許可を取れない理由になりません
  • 見られるのは、居住スペースとの区分・事務所として使える契約か・外から分かる表示の3点です
  • 賃貸で使用目的が住居用の場合は、事業所使用の特約か、貸主の承諾書が必要です。公的賃貸住宅は原則として認められません
  • 住居と同じ建物の場合、写真に加えて、間取り図と動線・区分の写真を出します
  • 電話は、名刺などで確認できる業務用の携帯電話でも可とされています

「うちの間取りで大丈夫か分からない」「契約書をどう読めばいいか迷う」という段階でも、ご相談いただけます。まずは、間取りと契約書を一緒に見ながら、今の状態を整理するところから始めます。

サポートの内容と必要書類の全体像は、建設業許可サポートのページにまとめています。お申込みの前に、あわせてご覧ください。

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