一般建設業から特定建設業へ切り替えるには|必要になる金額の線と、財産・技術者の要件【東京都】

「元請の仕事が大きくなってきた。下請に出す金額が増えそうだけど、今の許可のままで大丈夫だろうか」。

建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2つの区分があります。どちらが必要かは、工事の大きさではなく、元請として下請に出す金額で決まります。

この記事では、東京都の手引き(令和7年度)をもとに、特定建設業が必要になる線、切り替えの手続き、財産と技術者の要件を整理します。


目次

一般と特定の違いは「下請に出す金額」

手引きでは、元請として工事の全部または一部を下請に出すときの下請契約の金額について、次のように区分されています(令和7年2月1日から施行の金額)。

  • 一般建設業:下請契約の金額が5,000万円未満(建築一式工事は8,000万円未満)。複数の下請業者に出す場合は、その合計額で見ます
  • 特定建設業:下請契約の金額に制限なし

この線について、押さえておきたい点が4つあります。

  1. 元請として下請に出すときだけの話です。二次以降の下請に対する下請契約の金額には制限がありません
  2. 自社で全部を施工するなら、特定は不要です。請負金額がいくら大きくても、下請に出さなければ一般のままで受けられます
  3. 契約を変更して合計が線を超える場合は、変更契約を結ぶ前に特定へ切り替える必要があります
  4. 同じ業種で一般と特定の両方は持てません。業種ごとに、どちらか一方です

つまり、下請として仕事を受けることが多い事業者や、自社施工が中心の事業者は、一般で足りることがほとんどです。まずは「元請として、1つの工事でどれだけ下請に出すか」を確かめてください。


切り替えの手続きは「般・特新規」

一般の許可だけを持っている事業者が特定を申請するときの手続きを、手引きでは「般・特新規」と呼んでいます。業種追加や更新と同時に申請することもできます。

手数料は9万円です。新規申請と同じ金額で、業種追加や更新(5万円)とは違います。許可全体の費用と期間は費用と期間の記事にまとめています。

一部の業種だけか、全部の業種か

般・特新規には、持っている業種の一部だけを特定に切り替える場合と、全部を切り替える場合があります。手引きでは、出す書類が次のように分かれています。

  • 一部の業種だけ:業種追加申請と同じ書類
  • 全部の業種:新規申請と同じ書類(事業税の納税証明書なども必要)

業種追加の書類の流れは業種追加の記事で整理しています。


財産の要件|4つを「全部」満たす

一番の関門になりやすいのが、財産の要件です。

一般建設業は「自己資本500万円以上」など、いくつかの条件のどれか1つを満たせば足ります。特定建設業は、次の4つを全部満たす必要があります。

  1. 欠損の額が、資本金の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上であること(流動資産合計 ÷ 流動負債合計)
  3. 資本金の額が2,000万円以上であること
  4. 自己資本の額が4,000万円以上であること(法人は純資産合計)

判断に使うのは、申請時直前の確定した貸借対照表です。法人の場合は、定時株主総会の承認を得たものとされています。

1つ目の欠損については、繰越利益剰余金がプラスの場合などは計算するまでもなく満たしている、と手引きに書かれています。マイナスの場合は、手引きの計算式で確かめます。

ここで気をつけたいのは、見るのは「直前の決算」だということです。申請の直前にお金を集めても、確定した決算書の数字が変わらなければ要件は満たせません。切り替えを考え始めたら、次の決算でこの4つがどうなりそうかを、決算の前に見ておくことが大切です。


技術者の要件|資格か「指導監督的な実務経験」

特定建設業の営業所に置く技術者(特定営業所技術者。以前の呼び方は特定建設業の専任技術者)は、一般より要件が上がります。

  • 手引きの資格表で◎が付いている国家資格を持っている
  • または、「指導監督的な実務経験」がある

指導監督的な実務経験とは

元請として、工事現場主任や現場監督のような立場で、工事の技術面を総合的に指導した経験です。手引きでは、認められる工事の目安として次のように書かれています。

  • 元請の工事に限る(下請としての経験は該当しない)
  • 請負代金の額が4,500万円以上(税込)
  • 完成した工事のみ
  • 工期の合計が2年(24か月)以上。複数の工事の工期の重複は数えない

証明には、工事の請負契約書の写しや施工体系図など、その技術者が指導監督的な立場にあったことが分かる資料が必要です。監理技術者資格者証を持っている場合は、この証明書は不要とされています。

7つの業種は、実務経験だけでは足りない

土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(指定建設業)は、指導監督的な実務経験だけでは特定の許可を受けられません。一級の国家資格、技術士の資格、または国土交通大臣の認定が必要です。


経管の証明は、もう一度しなくてよい

般・特新規では、常勤役員等(経管)の経営経験を証明する資料は不要とされています。すでに一般の許可で確認を受けているためです。経管の考え方は経管の記事で紹介しています。

そのぶん、準備の中心は決算書の4つの数字と技術者の証明の2つになります。

今日できること

  • 直近1年で、元請として1つの工事で下請に出した金額の最大を書き出す
  • 直前の決算書で、資本金・純資産合計・流動資産合計・流動負債合計の4つを確かめる
  • 営業所の技術者の資格が、特定の資格表で◎かどうかを見る

まとめ

  • 特定建設業が必要になるのは、元請として下請に出す金額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)になるときです
  • 自社で全部を施工する場合や、二次以降の下請に出す場合は、この線は関係ありません
  • 切り替えの手続きは「般・特新規」。手数料は9万円です
  • 財産は4つの要件を全部、直前の確定した決算で満たす必要があります
  • 技術者は、資格か指導監督的な実務経験。7つの指定建設業は一級の資格などが必要です

特定への切り替えは、「仕事が大きくなったから」だけで決めるものではありません。下請に出す金額の見込み、次の決算の数字、技術者の証明の3つがそろうかを、先に並べてみることが出発点です。

「うちは本当に特定が必要か」「次の決算で要件に届きそうか」を確かめたい方は、ご相談ください。決算書と工事の見込みを見ながら、切り替えの時期を一緒に考えます。

建設業許可の料金と、サポートの内容は、建設業許可サポートのページにまとめています。

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