日本政策金融公庫の創業融資を申し込むと、書類を出したあとに面談があります。
「何を聞かれるんだろう」「うまく答えられなかったらどうしよう」。面談の前は、多くの方がここで緊張します。
先にお伝えすると、面談は答えを暗記して臨む試験ではありません。自分が出した創業計画書の中身を、自分の言葉で説明できるか。見られているのは、ほぼその一点です。
この記事では、面談でよく聞かれることと、その準備の順番を整理します。
面談でよく聞かれる6つのこと
聞かれ方は担当の方によって違いますが、中身はおおむね次の6つにまとまります。
- これまでの経験:その事業に関わる仕事をどれくらいしてきたか。何ができるのか
- 事業の中身:何を、誰に、いくらで売るのか。ほかと比べてどこを選んでもらえるのか
- お客様・取引先:最初のお客様の見込みはあるか。仕入れ先や外注先は決まっているか
- お金の使い道:借りたお金を何に使うのか。設備なら見積書があるか
- 自己資金:いくら用意しているか。どうやって貯めてきたか
- 売上と返済の見込み:売上の数字の根拠は何か。毎月の返済をどこから出すのか
どれも、創業計画書にすでに書いてあることです。面談は、その中身を確かめる場だと考えると準備がしやすくなります。
いちばん問われるのは「数字の根拠」
面談で言葉に詰まりやすいのは、6つ目の売上と返済です。
たとえば「月の売上100万円」と書いたなら、「なぜ100万円なのか」を聞かれます。客単価はいくらで、1日に何人来て、月に何日営業するのか。数字を分けて説明できると、計画に筋が通っていることが伝わります。
返済も同じです。売上から仕入れや家賃、人件費を引いて、手元にいくら残るのか。そこから毎月の返済ができるのか。ここがつながっていないと、計画書の見た目が整っていても説明が苦しくなります。
私が融資のご相談を受けるときも、最初に一緒に作るのは申込書類ではなく、月ごとのお金の出入りの表です。この表があると、面談で何を聞かれても、同じ数字に戻って説明できます。
自己資金は「金額」より「貯めてきた過程」
自己資金についても、少し補足します。
制度の上では、自己資金がなくても申し込める形になっています。ただ、実際の窓口では、自己資金がほとんどない状態だと話が前に進みにくいのが実情です。
面談で見られるのは、金額だけではありません。毎月いくらずつ、何のために貯めてきたのか。通帳の動きから、その人の計画性が見えるからです。
見せ金(一時的に入れて残高を増やすお金)は、通帳の動きで分かります。かえって信頼を下げることになるので、ありのままの記録で説明できるようにしておきましょう。
面談の前にやっておきたい準備
準備は、次の順番で進めると抜けが少なくなります。
- 創業計画書を声に出して読む:自分で書いた内容でも、口で説明すると詰まるところが見つかります
- 売上の数字を分けて書き出す:客単価×人数×日数のように、根拠を1行で言えるようにします
- 月ごとのお金の出入りを表にする:返済がどこから出るのかを、自分で確かめます
- 見積書・通帳・資格や経歴が分かるものをそろえる:言葉だけでなく、書類で裏づけられるようにします
- 聞かれて困りそうなことを先に書き出す:前の仕事を辞めた理由、自己資金の貯め方など。正直に、短く答えられるようにしておきます
面談は、うまく話せたかどうかより、聞かれたことに対して、計画書と同じ数字で答えられたかが大切です。
面談でつまずきやすい3つの場面
準備をしていても、当日に言葉が詰まりやすい場面があります。よくあるのは次の3つです。
1つ目は、「もし売上が計画の半分だったらどうしますか」と聞かれたとき。計画どおりにいかない場合の手を、ひとつでも考えておくと落ち着いて答えられます。たとえば、家賃や人件費をどこまで抑えられるか、手元のお金で何ヶ月もつか、といったことです。
2つ目は、経験を聞かれて、話が長くなってしまうとき。面談の時間は限られています。「何年、どんな仕事をして、何ができるようになったか」を、1分ほどで話せるようにしておくと十分です。
3つ目は、分からないことを聞かれたとき。その場で取り繕うより、「確認して、あとでお伝えします」と答えるほうが信頼につながります。面談のあとに、追加の資料を求められることもよくあります。
どの場面でも、慌てて数字を変えないことが大切です。計画書と違う数字を口にすると、そこから話がずれていきます。
一人で準備するのが不安なときは
創業計画書の数字は、書いた本人ほど矛盾に気づきにくいものです。誰かに一度説明してみるだけでも、詰まるところがはっきりします。
融資を通すことが目的ではなく、借りたあとに返していける計画になっているか。そこまで一緒に確かめたい方は、融資・資金調達のサポートのページもご覧ください。
あなたの計画書の売上の数字は、今、1行で根拠を言えますか。

